Ending03 最期の笑顔へ G M では、悪寒が走り捲ってる朗君(笑)。帰り道を歩いている時のこと。 朗 はいはい。 G M 君が思い出すのは、村雨丸のことだ。おぞましく血を啜る彼が、最後に見せた微笑を、君はどこかで見たことがある と感じた。なんだっけ? と考えながら、歩いているわけだ。 朗 「なんだっけなぁ……どこかで、見たような気がするんだけど、あんな奴見たこと無いしなぁ」 G M そう、君は考えて、気付く。あの笑顔には、ひとつ足りないものがある、と。 「――あ」 思わず、といった体で朗の唇が動く。 そう、思いだした。あれが泣いていれば、間違いなくそっくりだった、と。 泣きながら笑っている、それなのに幸せそうな笑顔。 見た事がある。黒髪の美しい、朗を――トリスタンを、愛した娘。 『黒い旗が上がっていたわ、トリスタン』 ぴたりと、朗は足を止める。 彼女は泣いていた。これを告げれば、愛する男が死ぬと解っている、絶望のあまり。 彼女は笑っていた。これを告げるのは、彼を最後まで看取るのは自分なのだという、喜びのあまり。 恍惚として、本当に幸せそうに、笑っていた顔が、あの時の村雨丸の顔に被る。 相手を永遠に、自分だけのものに出来たという、悦びの笑顔。 そしてトリスタンは――朗は、違和感に気付く。 「もしかしたら――本当は旗は、白かったのかな……?」 今まで、疑いもしていなかった心に、笑顔に灯された黒い染みがひとつ。 「こら! 危ないぞ!」 後から自転車のベルを鳴らされて、ふと朗は我に返る。 人間の溢れた雑踏。嘗て自分が生きていた世界とは、遠く離れた世界。 「まぁ――今更考えても、仕方ないか」 嘯くように、青年は囁く。 「それがどういう結果だったのであれ――イゾルデは戻ってこない」 考えたって仕方ないや。そんな笑顔の仮面を再び被り、朗は雑踏の中へ歩いていった。 ⇒snow doesn't melt yet.