『不死』における重要な要素は二つ。
変わることのない自我、失われない記憶、『精神』。
滅ぶことのない体、朽ちることのない体力、『肉体』。
この二つのファクターが必須であることは誰しも推測することが可能ではあるが、実現させることはそれほ
ど容易いことではない。
例えば肉体は冷凍状態にすることによって長期保存は可能であるがその状態で自我を保っていることは不可
能であるし、更に精神や記憶に至っては文書等で記録として残す程度のことしか出来ない。
夫々を永劫に保ち続けることすらも困難であるものを、両立させることなどは不可能に近い。
しかし、あのレトロウィルス(※レネゲイドウィルスを指す)ならば、この常識と思われた現状を覆すかも
しれない。
(以下、研究の概略)
オーヴァードの不死性を最も顕著に表わしている『リザレクト』は、侵蝕率が100%を超えると使用不可にな
る。
その侵蝕率は、日常との接点・絆(ロイス)の強さにより低下させることが出来、更にロイスを昇華するこ
とによってリザレクトを用いずに死の淵から立ち上がることもレネゲイドウィルスは可能としている。
つまりレネゲイドウィルスによる不死性に、最も重要なポイントはロイスということになる。
ロイスは普遍的なものではなく、状況や展開によって大きく左右されやすい。恰も月が満ち欠けを繰り返す
ように、ロイスには流動的な流れが存在する。
ならば、強靭な肉体・強い精神に不変のロイスが組み合わさることがあれば、『真の不死』は成るはずであ
る。
調査の結果レネゲイドウィルス自体に、この研究に最適な特殊な型(※Dロイスの一種)が存在することが
判明。下記参照。
○不変の精神を司るもの・クリムゾン・クローバー
脳の構造が4つ(大脳、脳幹(中脳、橋、延髄)、小脳、間脳)から成ることから。
四葉のクローバーをイメージして。
*対象者の脳細胞ではレネゲイドウィルスが活性化する度(エフェクトの使用・衝動判定)、上記名称の変
異ウィルスが異常増殖を繰り返し、通常の脳細胞を破壊し侵蝕していく。
*初期状態では増殖した変異ウィルスが脳細胞の代わりを行い感染者への影響は少ないが、症状が進行する
につれて、感染者の精神・自我は変異ウィルスと同一化する。
*この変異ウィルスは永遠にこの行為を繰り返し、侵蝕しつくした感染者達の自我・精神を全て蓄積してい
くものである。
○不滅の肉体を司るもの・アマランス
AMARANTH。決して落下しない不死の花。ギリシア神話に由来。
永遠に深紅色の花をつき咲きつづける不死性の象徴とされた。
*ウィルスの行動は前述クリムゾン・クローバーに同じ。侵蝕箇所が感染者の心臓。
*このウィルスの感染者は優秀な身体能力者が大半で、蓄積された身体能力・情報は『不死』と呼ばれるに
相応しいものであるだろう。
○永劫の絆を司るもの・ネバー・ランド
想像上の楽園。理想郷。
存在すると理解していても、視認することが非常に困難であるもの。
けれど永劫に憧れるもの。
(※研究データ破損のため、詳細不明。要調査)
「月(ロイス)が欠けてもまた満ちるように、人間が死んでもまた生き返ることができる」
アフリカ民話より、上記研究を【The Moon Bonds】と命名する。
※研究者 lifarsa lung
生年没年・国籍 不明