Middle10 狸は毒を薬とす
G M 次は史明のシーンです。
史 明 (ころころ)10ついたー!!(涙)98までイキマシター。
京 也 ようこそ!!(両手を広げ)
G M はっはっは。さあ、矢作さん、何してますか。
史 明 キョーちゃんとつかず離れずの距離を保っているかな。
G M 時間軸の問題はあまり気にしないでおくれ。そんな時に「色々やってんなー、坊ちゃん」と後ろから聞き
覚えのある軽薄な声が。
史 明 「(動じず)こんにちは」
ヴェノム 「こんばんは、だろ。もう夕方だぜ」
史 明 「挨拶に気を遣うような人だとは思ってなかったから。で、用件は何?」
ヴェノム 「ああ。何かわかんないことあったら教えておこうとな。今さっきお嬢ちゃんの方には行ってきたんだ
けど、坊ちゃんの方はまだ他にも何か聞きたいことあるんじゃないかと思って」
史 明 聞きたいこといっぱいある!「そーだなあ…。コーちゃんは、まだ人間のまま?」
ヴェノム 「(首を振る)あれはもう、人間じゃない。計画のウィルスに侵された実験体、だろうな」
史 明 「ふぅん」
京 也 ちょっとごめん。レネゲイドに感染はしてるけど、覚醒はしていないってことでいいのか?
G M さあ?
苺 花 その辺は内緒ということ?
G M ヴェノムにはわからない。
京 也 どっちかってとジャーム?
G M そうだね、それに近い。
ヴェノム 「体を取り替え続けない限り、藤倉恒也は死ぬ。…だが、あれはもう助からない。確実にな」
史 明 「だろうね。さっき見てきた」
ヴェノム 「倉庫か?」
史 明 「うん。あれじゃあもう長くないね」
ヴェノム 「ああ、お嬢ちゃんもバンダナ小僧も助けたいんだろうけどな。間違いなく、あいつは助けられない」
史 明 「それはわかってる。だけど、二人は助かることを望んでいるから。現実を見るのは僕一人だけで充分」
ヴェノム 「そうさねー。…坊ちゃんも苦労してんなあ」
史 明 「別に苦労じゃないけどね」
ヴェノム 「でもほらよ、普通17歳の少年がな、社長業に追われーの現実見てーの、甘酸っぱい夢も見れずーで
悲しくねえの?」
史 明 「悲しくはないかな。そうなるって決めた時点から、その道はないものと考えてるから」
ヴェノム 「じゃあ、あれかな。あのお嬢ちゃんもそうなのか?」
史 明 「ん?」
ヴェノム 「ほれ、蝶々のお嬢ちゃん。あの子もそうだと思うかい?」
史 明 「…いや、モトコちゃんはまだ夢は捨て切れてないと思う。心のどこかにそれが引っかかってはいるけれ
ど、見て見ぬ振りをしているだけだろうね」
ヴェノム 「じゃあ、そこまでわかってんなら」
史 明 「?」
ヴェノム 「あのお嬢ちゃんが何をしたとしても、責めてやるなよ」
史 明 「責めないよ。…怒るとかはあっても、それは他の人の役目だから」
ヴェノム 「本当に、責めないって約束出来るか?」
史 明 「うん。責めない」
ヴェノム 「じゃあ、教えてやろう。俺が世話になっている家はラキアと親戚関係みたいなもんでな。それだけで
も関係機関は結構ビビってくれてな」
史 明 うん(メモりつつ)。
ヴェノム 「UGN弦月市支部は、俺んちの発言=ラキアの発言と思ってビビる訳よ。だから、UGN弦月市支部
と俺んちは平和協定を結んでる。でも最近、とある事情で平和協定が破られることになって、こっちから
弦月市支部に命令を出した。そうすると、例えばこんなこともしてくれる」
史 明 ん?
ヴェノム 「面会謝絶の札を外してくれたりとかな」
史 明 「…ふーん」
ヴェノム 「責めるなよ? 責めないって約束したもんな?」
史 明 「責めないよ(目を細める)」
ヴェノム 「(苦笑)まあそうは言ってもな。お前にとって、あのメガネは大事な人間だろうからなー」
京 也 メガネ2(笑)。
史 明 おっきいメガネ(笑)。
ヴェノム 「けど、組織の辛さを一番わかってやれるのはお前だろ」
史 明 「うん」
ヴェノム 「だから怒ってやっても、責めてはやるな」
史 明 「…わかってるよ」
ヴェノム 「頼むわ。蝶々のお嬢ちゃん、俺の知り合いとそっくりなんだが『背負い込むの大好き。助けてもらう
のは嫌い』ってタイプだろ? だから親近感みたいなのが沸いてきたわけよ。悪ぃな」
史 明 「過ぎたことだからね」
ヴェノム 「お前、本当に達観してんな」
史 明 「してるさ。今更やったことを巻き戻すことは出来ないじゃない。それを掘り返して責めたって、残るの
は気持ちのいいものじゃない。支部長を怒るのは、イチカちゃんなりキョーちゃんなりに任せる。僕は見
ているだけでいい」
ヴェノム 「(拍手)」
史 明 「ねえ、一つ聞きたいんだけど」
ヴェノム 「何?」
史 明 「この間帰り際に言ってたよね。何でイチカちゃんを狙ってるの?」
ヴェノム 「そりゃさっき、お嬢ちゃんと<黒い狙撃手>にも聞かれたわ。端的に言えば、FHとUGNが行って
いる研究にお嬢ちゃんが必要。そしてその研究の成功が、俺の助けたい奴らを助けられる唯一の方法だか
らだ。…これでいいかい?」
史 明 「うん、わかった。あと、もう一個」
ヴェノム 「どぞ」
史 明 「…三崎はあそこで。ラキアで、何をしてたのかな」
ヴェノム 「あー? でっかいメガネに関しては俺も詳しいことは知らねえぞ。企業スパイとして潜り込んで、情
報を売ったり買ったりしてたらしいってことぐらいだ。俺が知ってるのはな」
史 明 「…そっか」
ヴェノム 「じゃいいかい。俺は行くぞ」
史 明 そこはもう引き止めないよ。「じゃあ」
ヴェノム 「次会う時は敵だな」
史 明 「容赦はしないから」
ヴェノム 「ああ。俺もお嬢ちゃんを殺す邪魔をするのなら、お前を殺す。それだけだ、じゃあな(手をひらひら)」
史 明 手を上げるだけで見送る。
G M それでヴェノムは居なくなる。苺花、いいのかい?
苺 花 居なくなったところで、矢作に追いつく(ころころ)5。
史 明 じゃあヴェノムが去った後に駆けてくる足音に気付いて、振り返る。「どうしたの?」
苺 花 「矢作っ! あいつは!?」
史 明 「へ? 帰ったよ?」
苺 花 「ああもう、とにかく無事でよかったー!(安堵)」
史 明 「いや、多分今日は大丈夫だったんじゃない?」
苺 花 「…って藤倉の守り、薄ーっ!!?」(笑)
史 明 「うん。僕が生きてる云々の前に、今回はキョーちゃん優先しないと」
苺 花 岐乃先輩はどうしてる?
幸 哉 僕は別行動で、藤倉君の守りのために走ってますよ。
苺 花 おお。守り薄くない。
史 明 「でも奴はそう遠くないうちに、出てくると思う。苺花ちゃんはなるべく近くにいてあげな」
苺 花 「…うん」じゃあ藤倉の傍に行く。
史 明 それを手を振って見送って、終わりかな。
G M はい。じゃあシーン終了ね。
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