Middle09 憂鬱な蝶、情熱の華





G M じゃあ弦月市支部にいる苺花のシーンに戻します。さっきの直後、だね。
苺 花 (ころころ)侵蝕率は3。基子が帰ってくるのを待っているよ。
G M やがて基子が帰ってきた。事務の人に事情を聞いてきたのか、戻ってくるなり「苺花、何かあったの?」と聞いてくる。
苺 花 「トコちゃん、お疲れ様。(しばらく考えて)いっぱい報告したいことがあるの、聞いてくれる?」
基 子 「…うん」
苺 花 かくかくしかじか、で今でのことを全部基子に伝えるよ。
基 子 「そう…大変だったのね。病院の方はまたこちらが後手に回ってしまって、本当に御免なさい」
G M そう謝るけれど、基子は苺花の方を見ずに俯いたまま。その手が動いて、さっきのメーラーを明らかに閉じている。
苺 花 うーん。
基 子 「それで、苺花はどうするの?」
苺 花 「…あのまま、普通に学校に行ってトコちゃんとお弁当食べたり勉強したり、そんな普通の生活が続けばいいって思っ
    た。だけど、忘れちゃいけなかったよね。この道を選び取ったのは、わたしだった。…だから、わたしもわたしに出来
    るだけのことをしたい。蚊帳の外で、一人で安全なところにいるなんて、わたしは嫌だ」
基 子 「…」
苺 花 (真直ぐ見つめ)「だからトコちゃん。トコちゃんのわかっていること、全部わたしに話して」
G M 基子はその視線を受け止めて、一度大きく溜息をつく。
基 子 「…私が今言える事は、唯一つ」
苺 花 「うん」




基 子 「――――UGNは、三崎さんを守ることは出来ない」




苺 花 「…!」
基 子 「貴方達が三崎さんを助けようとしているのであれば、私に貴女を助けることは出来ない。貴女にとって日常が大切で
    あるように、私にはそれと同じぐらいUGNは大切な存在なの。(振り絞るような声で)だから私は、貴女を、助けら
    れない」
苺 花 「どう、して? だって三崎さん、今までいっぱい協力してくれたじゃない? いっぱい助けられたじゃない? なん
    で?! どうして!?」
基 子 「わかって欲しいとは言わない。ただ、襲われたのが『三崎さん』である以上UGNはこの件に関わることは出来ない
    の。多分、三崎さん自身もこの意味はわかってくれる。わかっている上で、三崎さんはUGNに来て、そして抜けたの。
    …いつか、こういう事態がくることを、あの人はわかっていたはず」
苺 花 「…トコちゃん、ごめん。UGNの事情とかわたしにはわからない、わからないことだらけだよ?」
基 子 「…うん」
苺 花 「でも、自分が出来るかもしれないことを全部試してみるまで諦めるなんて嫌だし、どうにかなるって…わたしは信じ
    たいの。だから、わたし…行くね」
基 子 「…」
苺 花 (背中を向けてから)「でも。…わたしが守りたい日常の中に、トコちゃんもずっといるっていうことを、絶対忘れな
    いでね?」(振り返らずに走る)
G M そう言い残して苺花は部屋を飛び出した。閉ざされた扉に向かって、基子が一言だけ。
基 子 「…私は、矢作のように…、全てを自分の天秤にぶら下げることは、出来ない、から」






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