Middle01 覚醒の宴
G M シーンプレイヤーは苺花、申し訳ありませんが時間軸の都合上、史明と京也は登場不可です。
一 同 はーい。
G M 苺花はるりと一緒に、講習会が行われるというビルの一室にやってきました。簡素な会議室のような部屋で、苺花達の
他にも他の学校の生徒とかも結構沢山来てます。
苺 花 頬杖をついて、「進路、どうしようかな〜」と思いつつ、ぼんやりしてます。
る り 「結構色々な学校の人がいるねー」
G M ちょっと不思議なのは、その中にえっ、大学行くの?と思えてしまう、京也のような(一同笑)所謂ヤンキーとかもち
らほらいたり、明らかにあんたスポーツ進学出来そうだよね、ていう生徒とかも沢山います。同じ感じの人が集まりが
ちな、塾の講習説明会にしてはちょっと珍しいな、と思えます。
苺 花 「…色々な学力レベルの人取り揃え、ってこと? それとも、人は見かけによらないってことなのかな」(一同笑)
る り 「でもさ、あそこの茶髪の人なんて煙草吸ってるよ? 大学に行けるのかなぁ? 何か、微妙だよねー」
苺 花 「ちょっと変な感じ…居辛い、よね?」
る り 「うん、ああいう人と同じに見られるの、何かやだなぁ…」
苺 花 それを聞きつつ、色んな人がいるのは良いけど、煙草臭いなぁ、と思ってる(笑)。
G M そこで、前の方のドアがぱたりと開いて、中年の男の人が一人入ってきます。多分講師の人らしく、教壇の前に立つと、
自然とざわついていた教室も静かになります。
男 性 「え〜〜〜〜………(長い沈黙)…はぁあ〜〜〜〜(溜息)」(一同笑)凄く困ってる、感じです。首の汗を拭きつつ、
中々話し出そうとしません。
その男性は、生徒達の胡乱げな眼差しに押されたのか、漸く喋りだした。
「いやー…、申し訳ない。こういう場所には慣れていなくて…何と言っていいのか、え〜…」
しかしこう、何とも煮え切らない。血の気の多いらしい生徒から「何やってんだよこのオヤジ! とっとと喋れや!」と乱暴な罵声が飛ぶ。
他の生徒も「えー?」「何なのー?」と不信感を募らせているようだ。
「あ、えっと、ちょっと静粛にしてもらえますかぁ? いや、もう、えーっと、じゃあ、申し訳ありません、本当すいません。
えー、端的に申し上げますとですねー…うーんと、何と言って良いのか…いや、端的に申し上げますとですねぇ?」
埒も無くだらだらと続く言葉に、生徒達の我慢が限界に達しようとしたその時。
「えーっと、解りました。端的に、申し上げます。
まず、ですね、この集まりはですね、この弦月市にある高校から皆さんをお呼びさせていただいてですね、あ、本当にありがたく思っております。
それで、ですね、えーっと、この集まりで、してもらいたい事といいますと」
そして彼は意外とあっさり、本題を提示した。
「皆さんに、殺し合いをして頂きたいのです」
苺 花 「…えっ?」素でぽかんとする。
G M 周りの生徒も「は?」って感じ。「何言ってんだこのオヤジ?」みたいな。
男 性 「や、ですから皆さんに、殺し合いをして頂きたいと、思いまして」
苺 花 …がたんと立ち上がって、「馬鹿らしい。帰ります」と言って、「行こるりちゃん」と彼女の手を取って帰ろうとする。
る り 「えっ? えっ? ちょっ…」驚いて、立ち上がれない感じです。
男 性 「あ、申し訳ありません、帰られては困るんです! 私としても、しなければならない事がありまして…大丈夫! 大
丈夫なんですよ! 本当大丈夫なんですよ、一回や2回じゃ死なない人を集めてますから!!」
苺 花 「…は?」(ポカーン)
男 性 「え、ですから、あー、ま、やってみれば解る事ですよね!」とそこでおじさんは、似合わない凄く良い音を立てて指
をパチンッ!と鳴らし―――、耳鳴りのような音が聞こえてきます。耳の痛くなるような不快な音です。勿論苺花だけ
でなく、辺りの生徒達全員に聞こえてきてます。背筋がざわざわする、何かが体の上を這いずり回っているような、酷
く不快な感触を覚えます。
「何、何これ!?」
辺りから悲鳴にも似た叫びが上がる。生徒達が皆、一様に耳を押さえその場に蹲っている。
「やだ、何これ、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い!」
るりの方はすっかりパニックに陥り、動く事が出来ない。苺花は必死に吐き気を堪え、座り込まないように耐えていた。
持ち前の責任感が頭を擡げ、ここで挫けては駄目だと奮い立ったのだ。
るりの手を決して離さないというように、強く強く握る。るりもぼろぼろと泣きじゃくりながらも、答えるようにその手を握り返した。
「佐々木さん、佐々木さん、佐々木さんっ…!」
何とか彼女をなだめなければ、と思った時、辺りに変化が訪れた。
G M 突然、ドンッ!!という音を立てて、何かが爆発する音がして。苺花の隣にいた学生の身体が、こう腰から逆向きにぐ
にゃん! と曲がって何度もびたんびたんびたん! てなる。
苺 花 こ、怖い―――!(悲鳴)
G M 後は、ばちばちって漏電みたいな火花を飛ばしている生徒とか、腕がバキバキバキィッ! と動物みたいに変わって、
どうしたらいいのか解らない生徒とか。どこから来たのか解らない虫達を、沢山体に纏わりつかせてる人とか。
(三流のホラーを、見てるみたいだ)
現実感の無さと吐き気を押し殺しながら、苺花は変貌していく人達を眺めていた。
彼らが自分の意志でそうやっているのではなく、勝手に変わっていく自分の体をどうしたらいいのか解らなくなっているのは、
その恐怖と驚愕に塗れた表情を見れば解った。
「ふー…む」
指を鳴らしてこの惨状を創り上げた男性は、そんな情景を酷く、困った顔で見ていた。
やがてその視線は、苺花とるりに辿り着く。彼女達だけは、この狂乱の中変貌しないままでいた。
男 性 「おかしいなぁ」首を傾げながら、苺花達に近づいてくる。
苺 花 「…どういう事ですか!? 説明してください!」何が起こっているのか解らないけど、きっと何らかの事情を知って
ると思って、見据える。
男 性 「まぁ、そうですねぇ…多分、貴方には解る筈なんですがねぇ…? こうならないっていうことは。…そちらの貴方は、
どうですか?」と、男は、るりの方を向く。
苺 花 「何を言ってるのか解りません!」と反論してから、あたしもるりの方を向く。
るりの涙はもう止まっていた。
苺花の手を握り締めたまま、すっと立ち上がる。
辺りの狂態をぐるりと見渡し、「ぁあ…うん」と何かを認識したような承諾の息を漏らした。
「るりちゃん…何か、知ってるの?」
ぽつりと尋ねた苺花に、るりは、今までの楽しそうなそれとは違う…酷く、慈愛に満ちた笑顔を向けた。
「だいじょうぶ。佐々木さんは、友達だから。全然だいじょうぶ。ちゃんと守ってあげる」
にっこり笑う彼女の後ろに、身体を軟体動物の如く変形させた生徒がグワッ!と迫る。
反射的に、苺花はるりを背中に庇うように動いた。
正しくホラー映画の怪物のような、最早異形と化したその顔が眼前に迫り―――パァン!!と輪切りになった。
苺花の肩の後ろから伸びた、苺花と同じ、鳴鈴学園の制服の袖を通した異形の腕によって。
飛び散る紅い液体が、べたべたと苺花の身体にもへばりつく。
悲鳴も上げられず、後ろも振り返られず、苺花は呆然とその光景を見て―――後ろから聞こえる声を、聞き続けることしか出来なかった。
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。佐々木さんは友達だから、ちゃんと守ってあげるから。だいじょうぶ。だいじょうぶ」
G M はい苺花、自律判定お願いします! 目標値7で、精神。
苺 花 四個振って、目標値が7?(ころころ)うん、出た出た。
G M 衝動は「加虐」だったよね? じゃあ、返り血を浴びた瞬間、「ああ、人ってこんな簡単に壊れるんだ、ちょっと楽し
いかも」と一瞬思ったけど、理性が勝ってそれは抑えられる。でも、自分の足元から湧き上がってくる「何か」は抑え
ることが出来なかった。ぐっ、と堪えた瞬間、望んでいないのに、物凄い炎がぶわぁっ!!と周りに散る。その炎は辺
りで苦しんでいた生徒達を皆巻き込んで広がっていく。
周りは真っ赤に染まっていく。
けれど、苺花の肩に置かれているるりの手は、外れることは無かった。
「だいじょうぶ。だいじょうぶ。だいじょうぶ。だいじょうぶ。だいじょうぶ」
虚ろに聞こえる声と、広がっていく炎に、足を震えさせながらも…苺花は恐怖を堪え、後ろを振り返った。
その瞬間、苺花の記憶は途切れた。
何をしたのか、何があったのか、よく覚えていない。
ただ、意識が遠のいていく中、煌めく蝶のイメージだけが、脳裏に閃いて消えた。
G M はい、ここでシーン終了でーす! 覚醒選んでくださーい!
苺 花 うわぁーん! ごめんね、感情移入しすぎて涙出てきたよー!(半泣)
G M いやいや、そう言ってもらえるとこっちも嬉しい。
苺 花 覚醒は…忘却、かな? 思い出そうとすると一つのシーンが浮かぶけど、きっかけがどうしても思い出せない。
G M それでいいよ。次、京也行きまーす。
京 也 あいよー。
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