いつであるとも、どこであるとも知れない場所に、その部屋はある。

全ての時間と空間から隔絶された、鏡の竜の城。




いつも通り、イソラはそこでお茶を入れ、鏡竜に差し出す。
いつも通り、鏡竜はそれを受け取り、一口含む。
いつも通り、いつも通りの穏やかな日常。



下がろうとしたイソラに、鏡竜は柔らかい笑みを浮かべたまま口を開いた。



「……懐かしいですね」

「はい、ぼっちゃま」




思い出すのは、彼らが出会った日。
遠い昔、あの村の、美しい池のほとりで出会った日。





「―――五空。私は後悔などしていませんよ」





その声はある意味真摯で、ある意味傲慢な宣誓。





「貴方に出会えたことも、

貴方を閉じ込めてしまったことも、

―――貴方を愛したことも」






「……はい。金目(ジンムゥ)様」






老婆はただ穏やかに、愛する男に許された、その呼び名を紡いだ。









 
 
――――sunrise.