Master04 呪縛
G M 次またマスターシーンになるんで…そうだ、いっちゃんちょっと出てくれる?
英瑠⇒斎 お、了解。
G M 前回ラストで地面にぱくっとされたいっちゃんは、気がつくとベッドの上に寝かされていました。
いろは ひやああ。
G M 何もなってないから!!(笑)何もされてないよ言っておくけど!!
斎 …起き上がる。
G M 周りを見渡せば、すぐに気づくね。この部屋は、君がいた部屋だよ。900年ぐらい前に。
斎 ベッドから、転げ落ちる。
G M 部屋の中は薄暗くて、斎しかいない。部屋の内装も全く変わってない。ベッドがあって、色の濃いカーテ
ンがあって、壁に大きな鏡が一枚。殺風景と言えば殺風景な部屋。
斎 (静かに)アーツを使って、ベッドも、鏡も、全部破壊します。
G M おおう。じゃあ、ベッドは破壊できたけど、鏡は傷つかないんだよね。また攻撃する?
斎 うん、壊れるまで。
G M そうしようとした時に、その鏡が、テレビのスイッチを入れる「ヴンッ…」という音を立てて、鏡の中の
映像が揺らぎ、いきなり逆さ吊りにされたくゆが映ります。
斎 手を止めて、鏡に駆け寄る。
G M くゆの方も斎が見えるらしくて、「お、映った映った。よ、生きてる?」と声をかけてきます。傷だらけ
で、あちこちから血を垂らしているのに、口調は普段と全く変わりません。
斎 多分、映るってことはくゆもこの城にいるんだろうと解るから…「何故、こんな所にいる!」と鏡を叩く。
G M 近づくと解るんだけど、くゆは吹き抜けのようなところに片足を繋がれて吊り下げられていて、血が落ち
る先にはグールが沢山いて、その血を我先にと啜ってる。
く ゆ 「んー…なんていうか……兄弟ゲンカ?」
斎 「馬鹿なことを…関わらなければ、良かったのに」
く ゆ (眉を顰めて)「そりゃこっちの台詞だよ。何でわざわざ戻って来たんだよ」
斎 ………………。
「何故、なんて」
斎の唇から、言葉が漏れる。
普段の彼からは考えられないほど、その声は重く―――絶望していた。
「何故なんて、俺に聞くのか」
悪夢を忘れることなど出来なかった。
銀の戒めはすぐ側に在った。
ならば、逃れる事など、自分には出来ない。
俯く斎をどう思ったのか、くゆは少し考える素振りをしてから、不意に言った。
「俺さー、お前と初めて会った時、お前のこと殺そうとしたんだよね」
「ああ…覚えている」
忘れていない。いろはと初めて出会った事件の時のことだ。
あの時自分と春姫は、いろはを追う側の存在だった。
芦屋荘まで辿り着いた自分は、偶然その道すがらくゆと出会い―――その瞬間、明確な殺気を向けられたのだ。
「お前の体に、アイツのやな臭いが染み付いてたから」
「………………」
「けどさ。あの子が来た途端に、その臭いが全部消えた」
俯いていた顔を上げる。そうだ、あの時。
春姫が到着した瞬間、この目の前の悪魔は一気に殺意を潜め、代わりに、酷く不思議そうに首を傾げていた。
「何で、って思ったよ。あの時は解んなかったけど、今なら解る。
あの子といる時お前、アイツのこと一切合財忘れてただろ?」
「……………」
斎は答えない。答えられない。くゆの言葉は止まらない。
それでも、その瞳に僅かながらの力が宿ったのに気づいたくゆは、にやりといつものチェシャ笑いを浮べた。
「それが答えだ。絶対離すなよ」
それだけ言って、戒められていない足をぶんと振り、そこから伸ばした鍵爪で鎖をがちん!と斬り飛ばす。
咄嗟に斎が鏡に齧りつくが、真っ直ぐくゆの体はグールの坩堝に落ちて行き―――映像もぷつん、と消えた。
「……………何を、勝手なことを………」
搾り出すように呟いて、斎は床に膝を落とした。
⇒Middle05